2026年4月から、少額減価償却資産の特例が40万円未満に拡大。ただし、個人・法人とも青色申告が条件です。対象者、300万円の上限、取得日の注意点をわかりやすく解説します。
更新日:2026年8月18日
35万円のパソコン、買った年に全額経費にできる?
仕事用に35万円のパソコンを購入したとします。
通常、高額な設備は、何年かに分けて経費にします。
これを「減価償却」といいます。
ところが、一定の中小企業や個人事業主には、
購入した年に全額を経費にできる特例
があります。
それが「少額減価償却資産の特例」です。
令和8年度税制改正では、対象となる取得価額が、
30万円未満 → 40万円未満
へ引き上げられました。
ただし、ここで大切な注意点があります。
個人も法人も「青色申告」が条件です
「40万円未満なら誰でも使える」
という制度ではありません。
この特例を利用できるのは、一定の要件を満たす青色申告者です。
わかりやすくすると、次のイメージです。
| 事業者 | 40万円未満の特例 |
|---|---|
| 個人事業主・青色申告 | ○ 要件を満たせば利用可能 |
| 個人事業主・白色申告 | × この特例は利用不可 |
| 法人・青色申告 | ○ 要件を満たせば利用可能 |
| 法人・青色申告でない | × この特例は利用不可 |
個人は青色申告書を提出する中小事業者、法人も青色申告書を提出する中小企業者等を対象としています。
つまり、
「40万円未満か?」だけでなく、
「青色申告か?」も最初に確認する
ことが重要です。
今回の改正は、ここだけ押さえればOK
① 30万円未満から40万円未満へ
2026年4月1日以後に取得する一定の減価償却資産について、対象金額が40万円未満へ引き上げられました。令和8年度税制改正では、適用期限も3年間延長されています。
たとえば35万円のパソコン。
以前の30万円未満という基準では対象外でした。
改正後は、ほかの条件を満たせば対象になり得ます。
② 年間300万円まで
「40万円未満なら何台でもOK」ではありません。
この特例を使って一括で経費にできる取得価額には、原則として年間300万円までという上限があります。
たとえば35万円の機器を10台購入すると350万円です。
すべてをこの特例で処理できるとは限りません。
③ 従業員数にも条件がある
令和8年度税制改正では、対象となる法人について、常時使用する従業員数の基準が見直され、400人を超える法人は対象外となりました。
中小企業だから自動的に使えるとは限りません。
38万円のパソコンなのに対象外?消費税にも注意
たとえば税抜38万円のパソコンを購入します。
税抜経理なら、38万円を基準に判断します。
一方、税込経理で消費税率10%なら、
38万円+3万8,000円=41万8,000円
です。
この場合、40万円未満ではありません。
国税庁は、取得価額の判定について、税込経理なら税込金額、税抜経理なら税抜金額で判定するとしています。
同じパソコンでも、会社や事業者の経理方法によって結果が変わることがあるのです。
「買えば経費」ではありません
もう一つ注意したいのが、購入時期です。
特例を使うには、購入しただけではなく、実際に事業で使い始めることが必要です。
法人の場合、対象となる金額を損金経理し、確定申告書に必要な明細書を添付することも必要です。
「決算前にとりあえず買って、箱のまま置いておく」
という場合は注意しましょう。
白色申告なら、何も経費にできないの?
いいえ。
ここは誤解しやすいところです。
白色申告だから、パソコンなどを経費にできないわけではありません。
今回説明しているのは、
「40万円未満の資産を一括で経費にできる特例」
についてです。
たとえば個人の場合、取得価額10万円未満の減価償却資産には、この40万円未満の特例を使わなくても、原則として仕事で使い始めた年に全額を経費にできます。これは青色申告者向けの特例とは別の、通常の減価償却のルールです。10万円以上20万円未満についても、一定の場合に3年間で均等に経費化する方法があります。
「青色でなければ全部ダメ」という意味ではありません。
ケーススタディ|35万円のパソコンを買った場合
青色申告をしている個人事業主が、2026年6月に35万円の業務用パソコンを購入したとします。
仕事ですぐに使い始めました。
年間300万円の上限など、ほかの要件も満たしているとします。
この場合は、少額減価償却資産の特例を利用できる可能性があります。
一方、同じ35万円のパソコンでも白色申告であれば、この特例は使えません。
同じ買い物でも、申告方法によって税務処理が変わる
ということです。
設備を買う前に確認したい5項目
-
青色申告をしているか
-
取得価額は40万円未満か
-
取得日は2026年4月1日以後か
-
年間300万円の上限を超えないか
-
その年・事業年度中に仕事で使い始めるか
さらに法人では、従業員数などの要件も確認します。
「40万円未満だから買おう」の前に確認を
今回の改正で、これまで対象外だった30万円以上40万円未満の設備も、特例を利用できる可能性が広がりました。
これは、設備投資を予定している事業者には大きなポイントです。
ただし、
40万円未満=必ず全額経費
ではありません。
青色申告、取得時期、年間上限、消費税の経理方法など、確認する条件があります。
節税だけを目的に、不要な設備を購入する必要もありません。
大切なのは、
「必要な設備投資をするときに、使える制度をきちんと使うこと」
です。
「このパソコンは一括で経費にできる?」
「決算前に設備を買う予定がある」
「自社が今回の特例の対象かわからない」
このような場合は、購入前に確認しておくと安心です。
当事務所では、設備投資や決算状況を確認したうえで、適切な税務処理をご案内します。
お気軽にお問い合わせください。








